2018年02月28日

父と私  田中 眞紀子(著)

父と私

田中 眞紀子 (著)
出版社/日刊工業新聞社 (2017/3/7)
B&Tブックス  308ページ

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 幼少期から父の死に至るまでの四十七年間もの間、深い絆で結ば
れてきた父と娘。
昭和から平成という激動の時代をともに歩んできた著者が、研ぎ澄
まされた感性とクリアな視点を通し、時にユーモアを交えながら活写
する田中角栄氏の実像。
次の世代に向けた究極の“田中角栄"本である。
 娘は父から何を学び、父をどう支えてきたのか。そして今、何を次代
に伝えようとしているのか。名宰相・田中角栄を傍らで見つめてきた
真実が著者自身の筆で記されている。

娘から見た、政治家・田中角栄氏とは? 真紀子氏の足跡をたどりつつ、
今、初めて明らかにされる実像! 
著者が父とともに歩んだ四十七年間の濃密な日々を研ぎ澄まされた
感性とクリアな視点でユーモアを交えて活写した究極の"田中角栄像"
----引用

第一章:マコちゃんー幼少期
第二章:お嬢さんー独身時代
第三章:奥さん:結婚後
第四章:先生・大臣ー衆議員院議員になって
第五章:眞紀子さんー議員バッチを外して以後

 先回の田中角栄、『天才』 石原 慎太郎(著)を取り上げた際、ブーム

最後に読む本はこれだなと購入した一冊。

 田中眞紀子(著)の『父と私』です。

 流石にブームにならい数多くの「田中角栄」に関する著書が出版

されましたが、どれも自伝ではありませんので推論の域を出ない部分

は残念な処です。

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 ただこちらの本は、家族であり一人娘である「眞紀子」氏が筆をとら

れた唯一の家庭での姿を知る一冊です。


 家での振る舞いや家族に対する知られざる一面、妻子に対する接し方、

そんな誰もが描けない「田中角栄」像を余すところなくその時のエピソー

ドを交え綴られているのでとてもリアリティでありフィクションであるなと感

じさせてくれます。 

 流石に詳しく書けない部分もあるのでしょう、多少残念ではありますが

当たり障りのない「所」的な感も否めません、しかし家族から見た「父」

田中角栄を知る上では唯一の本ではないのでしょうか。

 読む前は「議員」さんは勉強しているのだろうかと、疑問など多々感じ

ておりましたが思いの外勉強熱心だったのだなと改めて感心する事が

多く再認識する上でも良い本であります。

 読むほどに本人が今の日中関係を見たならば憂うだろうなと思ってし

まいますね。

 この本は「娘」が「田中角栄」像を「父親」、家族として書きあげた一冊

です、なので裏話や暴露的な内容ではありません。文字通り「父と私」

がメインの内容となっております。

posted by 番屋竹林 at 10:43| Comment(0) | 書籍 小説(エッセイ) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年02月25日

天才 石原 慎太郎

天才

石原 慎太郎(著)/
出版社/幻冬舎 (2016/1/22)
226ページ

天才.jpg

高等小学校卒という学歴ながら『日本列島改造論』を引っ提げて総理
大臣に就任。
比類なき決断力と実行力で大計の日中国交正常化を実現し、関越自
動車道や上越新幹線を整備、生涯に30以上の議員立法を成立させる
など、激動の戦後政治を牽引した田中角栄。
その経歴から総理就任時には「庶民宰相」「今太閤」と国民に持てはや
され、戦後では最高の内閣支持率を得たが、常識を超える金権体質を
糾弾され、総理を辞任。その後、ロッキード事件で受託収賄罪に問われ
て有罪判決を受けるも、100名以上の国会議員が所属する派閥を率い、
大平・鈴木・中曽根内閣の誕生に影響力を行使。
長らく「闇将軍」「キングメーカー」として政界に君臨した。
そんな希代の政治家・田中角栄といえば、類まれな権謀術数と人心掌
握術に注目が集まるが、実はスケールが大きいわりに人一倍デリケート
な一面があった。浪花節と映画をこよなく愛する、家族思いの人情家だっ
たという。
強烈な個性をもったリーダーが不在の今、自らも政治家として田中角栄と
相まみえた著者が、毀誉褒貶半ばするその真の姿を「田中角栄」のモノロ
ーグで描く意欲作。

反田中の急先鋒だった石原が、今なぜ「田中角栄」に惹かれるのか。
幼少期のコンプレックス、政界入りのきっかけ、角福戦争の内幕、ロッ
キード事件の真相、田中派分裂の舞台裏、家族との軋轢…。
毀誉褒貶相半ばする男の汗と涙で彩られた生涯!
----引用

  少し前の某TV番組で田中角栄の自宅までは関越自動車道を経由すると

「目白の田中邸から新潟まで3回曲がれば着く」とした新潟の都市伝説がマ

コさんの番組や「教えてもらう前と後」にて放送されてました。


 その時、たしか… 石原慎太郎氏が執筆した『天才』田中角栄を購入して

いたなと思い出したのでブログに登場です。


 読んで感想をのべる以前に、新潟県民にしてみれば恩恵は計り知れない

ものがあります。

1982年(昭和57年の上越新幹線開業、1985年(昭和60年)の関越自動車道

全通。この二つの偉業がどれほど中央との距離を縮めてくれたか…

今までの東京までは夜行や急行乗り継いでとした不便さを解消してくれただ

ではなく、新潟を一地方都市へと発展させたファクターの殆どがこの『日本

列島改造論』からくる事は間違いのない事実でしょう。

 この書籍は田中角栄本人ではなく、政治家であり作家でもある石原慎太郎氏

が書かれた一人称小説。当然自伝風に書かれてはいるものの没後、後年の資

料と実際の記憶による書き物であるわけです。

 晩年の動けぬ体となった下りなどは、「本当の自伝ならどんな事が書かれ

たのだろう」と想像するだけで悲しく寂しい気持ちになるのは私だけではな

いでしょう。


 マスコミがあれだけ騒いだロッキード事件にしても、後年は養護、疑問視、

某国の陰謀とただの演出冤罪であるとした流れは生きていたらさぞや吠えら

れたのではないかと想像いたします。正直ちょっと読み足りなかった感があ

りますね、全三巻とかでも良かったですよ。


 しかし今更ながら金権賄賂と声を上げたところで、政治に限らずどんな商

売や付き合いでも根底に坐した考え方はあるでしょう。どんな国でも同じ事、

大小有無しにお金が絡むのは避けられぬことです。線香や手拭配ったと揚げる

とること自体がナンセンス。そんなのを角栄さんが聞いたら馬鹿にしそうな小

事かもしれません。


 読み終えた感は「とてもよかった」、もう少し手腕を振っていたら諸外国

との距離も違ったものになっていたのではないかと残念でならない部分は大

きい。今の外交や特亜関連のニュースを聞いていると特にそう思い感じ入り

ますね。

 私は県民という立場から一貫した養護派なので(笑)こんな感想となりまし

たが、一個人の感想ブログの常として読み飛ばしていただければ幸いです。

posted by 番屋竹林 at 07:40| Comment(0) | 書籍 小説(エッセイ) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年12月25日

ゲゲゲの女房

ゲゲゲの女房

武良 布枝  (著)出版社: 実業之日本社
 (2008/3/7) 256ページ

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 NHK朝の連続ドラマで一躍有名になった一冊です、わたしの場合

普段は時間の関係からか、なかなか朝の連ドラをゆっくり楽しむ

機会がなかったのですが。初めてと言っ良い程当時は真面目に

観ましたね。


 漫画家・水木しげる先生の作品は幼少時、既にTVドラマが放送さ

れており、子供心に「怖いけど観たい」番組として実写物では唯一記憶

に残っている番組でした。その後漫画を読む機会に恵まれファンに。

流石に著書、作品が多い方なので全てを読んではいませんが、

昔の復刻で発売されている物は大体読みました、残念ながら短編は

読んでいない作品が多いのですが、別のエッセイなど戦争体験物を

交え読ませていただきました。


 この水木しげる先生の奥様である「武良 布枝」さんが書かれた自伝

エッセイが『ゲゲゲの女房』であり連続ドラマと映画の原作です。

実は、TV放送後に、何か水木先生の書かれた自伝とちょいと違う

のでは?と気になり購入していた本であります。


 戦争で腕を無くし貸本漫画家として赤貧に喘いだ時代などはTV放送の

前から知っていた物の、奥様の自伝とした作品ではどのように描かれ

るのだろうと興味は大きかったですね。

実際ヒロインは奥様でありNHKのTVドラマでは向井理X松下奈緒の

イケ面「水木しげる」。映画では吹石一恵X宮藤官九郎コンビ、後は

別に舞台化もあります。


 気になる、気になった部分は売れっ子になってからのアシスタントの

部分、実名表記ではありませんでしたが「つげ義春」や「池上遼一」など

一線のプロ作家と、ドラマ上での完全なオリジナルなキャラはどのくらい

なのかなど、後は2階の下宿人とかですね。そんな彼らを妻としてどのよ

様に見ていられたのか、気になりますよね。


 流石にドラマ化の際には御本人が存命でしたから、あまりなオリジナル

キャラでの嘘は無かった様です。

 エッセイですので誇張もドラマチックな山場など小説の様な書き方では

なく淡々とお二人の馴れ初めなども書かれております。ドラマ観られてな

くても楽しいですよ。


 しかしこの「ゲゲゲの女房」でNHKさんは朝の連ドラ視聴率を持ち直した

そうですからたいした物です。

まぁ普段リアルでドラマを観ない自分からしても、漫画家「水木しげる」の

ドラマは良い物でした。


 平成21年くらいまでは日朝アニメなどで東映の鬼太郎シリーズを断続的に

放送していた物ですが、現在ここ10年ほど新たな映像化はされておりません。

最後は深夜アニメ枠「ノイタミナ」で墓場鬼太郎 が最後でしょうか。

ちなみに「鬼太郎」CVは野沢雅子さん→戸田恵子→松岡洋子→松岡洋子

「目玉おやじ」の田の中勇さんと「ねずみ男」最初の大塚周夫さんは既に鬼籍。

ですが、たまには新作観たいですね、ネコ娘が更に「萌」キャラに進化していた

ら嬉しいかもしれない。

追伸 1/18
アニメ化50周年記念!
4月1日(日)午前9時スタート!
鬼太郎:沢城みゆき
目玉おやじ:野沢雅子
ねずみ男:古川登志夫
ねこ娘:庄司宇芽香
犬山まな:藤井ゆきよ
砂かけばばあ:田中真弓
子泣きじじい&ぬりかべ:島田敏
一反もめん:山口勝平





posted by 番屋竹林 at 14:56| Comment(0) | 書籍 小説(エッセイ) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年11月06日

椎名 誠 ぼくがいま、死について思うこと

ぼくがいま、死について思うこと

椎名 誠  (著)/ 218ページ/ 新潮社

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椎名誠さん著書の『ぼくがいま、死について思うこと』です、

表題を読んだ時、流石に『最後の自伝?』か『生前葬?』みた

いな? と思ってしまいましたね。そんな事は書かれていませ

んね。

そんな思いで手にとりましたが『死』全般についてです。




著書の椎名誠さんの本は他にも読ませて頂いておりますが

思いの外、旅のエッセイ集が多いです。

それも『食』の悪食本が多いです(笑。



以前はカヌーイストで作家の野田知佑さんやアリス・ファーム

の藤門弘さんの本を『BE-PAL』繋がりで読み漁り始め、そこ

かしこに登場する椎名誠さんの本も… との流れからでした。

そんな理由からなのかエッセイが多い理由です。



死について…、内容は概ね『葬儀』『埋葬』『死生観』

『宗教観』などについて椎名誠が旅された国や異文化の地域

での風習が書かれ、それ加えて参考書籍や家族からの実体験を

交えて紹介。


読んでみて思う事は、日本人て意外と独特かもしれない?

そんな感想ですね。

まあ『火葬』『土葬』なら日本では普通、既に『土葬』は出来

ないも同意語なので日本人は『火葬』のみな訳です、キリスト

教は別みたいですけどね。

本書にはそれら以外の埋葬方法や葬送の紹介が椎名さんの

死生観を交え数多く紹介されてます。

淡々と書かれているので気持ちの悪い本ではありませんが

生々しさはちょっと感じますね、火葬が常識ではない諸外国の

送り方はそれこそ 千差万別。正直TVなどでは絶対に取り上

げない話題なのでお驚きも大きいです。


それら埋葬、葬送が2/3ほど占め、後の1/3は椎名さんの母や

親しい仕事仲間との別れが書かれています。シーナ、ついに

〈死〉を探究するの一冊です。


この書籍の発行は2013/4です、ただ個人的にはですが、

最近は家族葬の様に少ない人数での葬儀が私の周りでは

増えているような気がします。

確かに大きなセレモニーホールでの華美な葬儀には業者臭が

して『なにか嫌だ』的な意見には同意しますね。打合せを

傍で聴いているとカタログで車を買入するが如くオプション

が増えて行きますねほんとセールストーク、商売なんだな

と感じます。


お薦めは、椎名さんファン


posted by 番屋竹林 at 15:04| Comment(0) | 書籍 小説(エッセイ) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする